そう、数名の若者たちの中にいたのは親子の家に集金に来る新聞奨学生。集金に来て「何かできることがあれば言ってください」と言うので「じゃあうちの子と遊んで!(笑)」と言ってみたら、ほんとうに仕事終わりに来て遊んでくれたりする優しいお兄さん。しかし、そこにいたのは別人のように激しく動く彼でした。彼と仲間たちは二本の縄を激しくぐるぐる回し、誰かが跳んだかと思うといつの間にかその人が縄を回していたり、別の人が回っている縄の中で宙返りしたりダンスを踊ったり……いやいやめちゃくちゃ面白いんだけど、なんなんだ、これは!?
当時のCAPLIOREメンバーはいまやシルク・ドゥ・ソレイユのアーティストとして、世界を舞台に活躍しています。MONと共にカンクンの常設劇場で「JOYA」に出演中のリーダーNOBUは先日Kindleから『ありがとうは夢を叶える魔法の言葉』という自伝を出版しました。MASAとYABIっちは「VOLTA」というワールドツアーでダブルダッチを世界に広めています。
CAPLIOREの後は、彼らの出身母体である日本体育大学ダブルダッチサークル「乱縄」の学生チームが代々教えに来てくれるようになりました。そのうちコーチたちを見習ってチームを作って大会に出る子どもたちが出てきて、2015年までに5チームが日本代表として世界の舞台を踏み、チャンピオンにもなりました。歴代コーチも「美小」のコーチに選ばれたことを名誉に感じてくれ、大会でも常に大活躍するので、コーチの応援もクラブメンバーの醍醐味です。近年は卒業後もプロや社会人プレイヤーとして、また指導者としてダブルダッチシーンを支えている元コーチもたくさんいます。
プロ講師が教えるスクールも増えていますが、美小は毎年コーチが変わります。二十歳そこそこの若者たちなので、コーチをしている2年間の間にコーチ自身も大きく成長します。「教える方も教えられる方も共に育つ」姿を見られることもクラブの特徴かもしれません。
来年2021年には創立から20周年。ここ数年は「たまプラーザの文化」とまで言われ始め、少し面映ゆいですが、地域の方々にもたくさんの応援をいただいていることに感謝の念が尽きません。世界を包む不安な状況でいまは活動ができるかどうかも見えませんが、また安全に活動できる日が来たときには、地域の皆さんとともに楽しめるよう、どのような形であれ続けていければ幸いです。